作品集
書籍タイトル | Oh! Happy Days(オー! ハッピー デイズ) |
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著者 | 藤原由香 |
ジャンル | 遺稿集 |
仕様 | ハードカバー/200頁/表紙2色/本体モノクロ |
依頼主はお母さまでした。24歳という若さで他界した、長女の生涯を1冊の本に遺したい、彼女が生きた証として本を作りたい、とのことでした。原稿は一切なし。すべてゼロからの制作です。情報源としてあるのは、彼女由香さんが中学1年生から亡くなるまで書き綴った16冊の日記、友達と交し合った手紙とFAX。生涯に何千点と撮影した写真・・・。
まずは、ライターによる取材と故人の年表作りから始まりました。由香さんと親しかったご家族、友人、病院の先生など、約20人の方にロングインタビューを行い、生前の由香さん像を徹底的に浮き彫りにしました。彼女の年表を作成し、日記をベースに構成と編集を組み立てました。
取材の過程で、彼女の人生があまりにもすばらしいドラマチックなものだったので、「家族や友人・知人だけでなく、第三者が読んでも感動できる遺稿集にしましょう」と提案。第三者にもわかるように、彼女の日記をベースに、彼女が生きた各時代に解説を加えながら、写真、手紙、FAXの文面も添えてストーリを展開しました。
制作過程でもっとも難しかったのが、絵文字でした。由香さんは、日記にふんだんに絵文字を使っていました。その表現力がすばらしくそれをなんとか遺稿集に反映させたかったのですが、通常の編集ソフトの作り方では絵文字を再現することはできません。このため、一つひとつの絵文字を描き起こし、本全体もデザインソフトを使って制作しました。しかし、デザインソフトで編集モノを作ると、通常より何倍も時間がかってしまうのです。その上、日記をなるべく忠実に再現したかったので、絵文字同様、文字の大きさにも強弱をつけて編集したため、さらに時間を要しました。写真なども、由香さんの頭にかぶっている雪をCGで取り除いたり と、微細な修正を加えました。
さんざん時間をかけて丁寧に仕上げた遺稿集でしたが、本が完成したときには、お母さまが感激して涙を流して喜んでくださいました。弊社側も「本当によい仕事ができた」と、たいへん嬉しく、自費出版を天職であると感じた仕事でした。